草原の国フォルセナへと繋がるつり橋がかかる大地の裂け目。
岩だらけの道を崖沿いに進むのが恐いシャルロットはいつもより遅いペースで歩き、ケヴィンはそれに配慮して時々振り返りながら同じく遅めのペースで歩いている。
「も…もし、モンスターがでてきちゃったらどうするでち……」
「大丈夫。つり橋すぐそこ、渡っちゃえばいい」
少し離れたところには大きなつり橋があり…二人の先を歩くデュランがちょうど橋を渡るところで立ち止まっているのが見える。
「そ、そうでちね!デュランしゃんもまってくれてるみたいだし、とっととわたっちゃうでち…」
「…違う」
「「…?」」
離れているのと風の音で聴こえにくいが…デュランが何か言っている。心の声で話しかけてくるフェアリーと喋っているのだろうか?
それにしてはいつものぼやくような態度でもないし、まだ喋り続けている。
「…だから……関係…い」
もしかして自分達に向けられている声なのかもしれない、二人は少しペースを上げてデュランへ近付こうとしたが……。
「あいつらは仲間じゃない」
聴こえてきた予想外の言葉にケヴィンは足を止めた。
(…オイラたち……仲間じゃ、ない?)
「なんでそんないぢわるいうんでちかぁっ!!!」
「っ!おい、今こっちくんな…」
「しかもくるなっていったでち!!」
シャルロットがすかさずデュランの元へ行き抗議の声をあげる。
「ひょっとしてさっきはしゃぎすぎたのおこってるんでちか!?だからってひどいでちぃ!!」
「ちょ、シャルロット戻れって!今は危ねえんだよ!」
「やはり後ろの奴らも仲間だな…覚悟しろフォルセナ兵!!」
「違うっ!!この二人はフォルセナ兵じゃない!っつうかどう見ても違うだろ!?」
「ならばなんだと言うんだ!!」
「何って友達だよ!旅先でできたオレの友達っ!見た目が普通の子供なんだからわかるだろ!」
(ト、トモダチ………なのか…)
「そんな筋肉バキバキの子供が普通な訳があるか!!」
「妙なところにつっこんでんじゃねえよっ!!」
「黙れっ!!!全員まとめてまっ殺する!!」
思考が停止しかけていたケヴィンだったが、そこではじめて橋の反対側に魔女の様な格好をした人間達がいると気付いた。
「デュラン!こいつらいったい……それと、マッサツ…何?」
「え?そりゃストレートにころー」
「うわーん!ぶすがおこるんでち!」
「ダイヤミサイルっっ!!!」
シャルロット目掛けて土魔法の攻撃が放たれ、デュランはすかさずシャルロットを担いで後方のケヴィンへと投げ…自分は前に出る形でかわした。
「ケヴィン!そのまま下がれ!」
「逃がすかっ!」
シャルロットをキャッチしたケヴィンのすぐ後ろに魔法の結界が張られ、つり橋に閉じ込められた……さらに。
「なんだ、コレ!?どっから出てきた!?」
「きっとしょうかんまほうでち!ごほんでよんだゴーレムってやつに、そっくりでち!」
「魔法……やっぱアルテナ兵か…」
デュランはシャルロット達の方を向かずに剣を抜いた……前方にもゴーレムがいて、挟み撃ちにされているからだ。
「ケヴィン、シャルロット!そっちは任せた!!」
「おうっ!すぐに片付ける!」