第7話『不穏な噂、気遣う心』



【シャルロットに伝えなくていいの?】



「………わざわざ起こすことないだろ」



買い出しのためしばらく歩き、人通りが少ない場所まで来るとフェアリーが心の声で喋りかけてきた。



【でも、噂が広がったらいずれ知ることに…】


「だからって今じゃなくてもいい、ただでさえ疲れてるんだ」


先程デュランは宿屋の廊下で、聖都ウェンデルの光の司祭……シャルロットの祖父が不治の病に倒れたという客同士の会話を聞いたのだ。

ウェンデルへ侵攻するビースト兵を食い止めるために命がけで結界を張った事が原因であり、さらにその不治の病を治せるのは行方不明になっている神官のヒースだけらしい。



(…そんなん聞くの、辛いだろ……二人とも…)


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