「デュラン、あれ何??」
船でジャドを脱出した一行は、自由都市マイアで改めて旅支度と情報収集をすることにした。そしてマイアの宿屋にて……ケヴィンは部屋に置かれたある物に興味を示す。
「あぁ、ちょっと見てな…」
それは大きめの植木鉢…何も植えられていないが上等そうな土が入っている。
デュランは荷物の中から何かの種を取り出し、植木鉢の土に埋めた……すると。
「わわっ!すごい!花、咲いた!!」
埋めてから数秒で土から芽が出ていっきに花が咲き…花の中央が輝いた。
「うーん、まんまるドロップか」
「??花にアメがなった?」
「この植木鉢はな、これを植えるために用意されているんだ」
デュランが植えたのはアイテムの種……荷物からもうひとつ取り出してケヴィンに見せる。
「あ!それ持ってる!森で見つけて、不思議な匂いするから気になって集めた……オイラもやってみていいか?」
「おう、どんどんやってみろ!」
アイテムの種を植える用の植木鉢は、冒険者や旅人の必需品となるため各町の宿屋に置かれている事が多い。
道具屋での買い物を減らせる、いいアイテムがなったらそれを売ることもできる…これがデュランの言う旅人ならではの稼ぎかただった。
「クルミできた!」
「魔法のクルミだな、食べると魔力を回復できる」
「じゃあシャルロット!あげる!」
「ZZZZZ…」
ついさっきまでベッドでくつろいでいたシャルロットだが、いつのまにか寝てしまっていたようだ。
「あ、シャルロット寝ちゃってる」
「脱出したり船旅したりで疲れたんだな……買い出しはオレ達で行ってくるか」
「うん!」
デュランが先に部屋を出て、ケヴィンは眠っているシャルロットに布団を掛けてから後を追うと何故かデュランが戻ってきた。
「ん??忘れ物か?」
「…やっぱオレひとりで行ってくるから、ケヴィンも休んどけよ」
「え?」
「ほら、おまえ船酔いしかけてたし」
「もう平気だぞ?シャルロットがヒールライトしてくれたから体力も…」
「いいから休んどけ!シャルロットも途中で起きるかもしれないだろ、一緒に留守番してろって」
「わ、わかった…」
ケヴィンは戸惑いながらデュランを見送り、シャルロットが眠っている隣のベッドに腰掛けた。
(…なんか様子おかしかった……だけど)
「ZZZ…むぅ……ひーるらいと、でち…」
「………ありがと…オイラもう元気だ」
寝言を言いつつ豪快に寝返りをうったシャルロットにもう一度布団を掛け直し、自分も寝転がって目を閉じた。
(さっきのデュラン…オイラとシャルロットを心配する優しいにおい、したから……おとなしく留守番、しよう)