「はい、いっちょうあがり!」
ホークアイは意図も簡単に自分が入れられていた牢屋の鍵を開け……ビースト兵を上手く牢の中へ誘導して逆に閉じ込めたのだった。
「すげぇな…今のどうやったんだ??」
「こんな鍵、シーフの俺には朝飯前さ……ほら、キミ達も行こ…」
「フレディっ!」
ケヴィンはホークアイが閉じ込めたビースト兵を見て駆け出し、鉄格子越しに睨み付ける。
「フレディ答えろ…なんでアストリア襲った?」
「ケヴィン、おまえこそなんで人間と一緒にいるんだよ?」
「デュランたち、仲間!人間にもいいやついる!それに、昔のことで獣人が人間恨んでたとしても…アストリア、あそこまでする必要無かった!!」
獣人であるビースト兵は湖畔の村アストリアを壊滅させ、次はウェンデルへ侵攻しようとしていた。
「って言ってもよぉ…兵を率いて指揮を執っていたのはルガーだし」
「だから、なんでっ!?ルガーは誇り高いやつ!戦えない人間襲う…おかしい!!」
ケヴィンの言葉を聞いて、デュランとホークアイは城塞都市ジャドで町民を怯えさせていたビースト兵を思い出した。
リーダー各の様なビースト兵は“大人しくしていれば危害をくわえない”とハッキリ言っていた……しかしアストリアは占領せずに奇襲をかけた。
「ルガーの考えもよくわからねぇんだよ、死を喰らう男ってやつが来てからな…」
「っ!また、あいつ…」
「………やはりどこも妙な事が起きてるんだな…ナバールだけじゃない」
ホークアイは少し俯いて…考えがまとまったのかデュラン達に向き直る。
「港へ急げ…町の連中が話していたが、警備が手薄になったら船を出すらしい。キミ達はその船でこの街から脱出するんだ!」
「ホークアイしゃんはいかないんでちか?」
「俺はまだ調べることがある、町から出るのはその後さ」
三人はホークアイにお礼を言い、牢屋の外に放置されていた各々の武器と荷物を見つけ出した。
「またどっかで会えたらよろしくな、絶対捕まるんじゃねーぞ!」
「ホークアイ、き、気を付けて!」
「ああ、みんな元気でな!」
「…ばいばいのまえにヒールライトしておきまち!」
ヒールライトの光を見つめるホークアイは懐かしさと悲しさが混ざったような表情をしていて…それに気付いたシャルロットは心配そうな顔でホークアイを見上げた。
「だいじょうぶでちか…?」
「……大丈夫、癒してくれてありがとう。シャルロットも怪我とか気をつけるようにな。それと辛いことがあったら遠慮せずデュラン達を頼れ…あいつら、良いおにいちゃんだぞ!」
「はいでち!」
シャルロットはデュランとケヴィンの元へ駆け寄り、ホークアイにもう一度手を振ってから牢屋を後にした。