第6話『小さな力の大きな癒し』




「はい、いっちょうあがり!」




ホークアイは意図も簡単に自分が入れられていた牢屋の鍵を開け……ビースト兵を上手く牢の中へ誘導して逆に閉じ込めたのだった。



「すげぇな…今のどうやったんだ??」


「こんな鍵、シーフの俺には朝飯前さ……ほら、キミ達も行こ…」

「フレディっ!」


ケヴィンはホークアイが閉じ込めたビースト兵を見て駆け出し、鉄格子越しに睨み付ける。



「フレディ答えろ…なんでアストリア襲った?」


「ケヴィン、おまえこそなんで人間と一緒にいるんだよ?」


「デュランたち、仲間!人間にもいいやついる!それに、昔のことで獣人が人間恨んでたとしても…アストリア、あそこまでする必要無かった!!」



獣人であるビースト兵は湖畔の村アストリアを壊滅させ、次はウェンデルへ侵攻しようとしていた。



「って言ってもよぉ…兵を率いて指揮を執っていたのはルガーだし」


「だから、なんでっ!?ルガーは誇り高いやつ!戦えない人間襲う…おかしい!!」


ケヴィンの言葉を聞いて、デュランとホークアイは城塞都市ジャドで町民を怯えさせていたビースト兵を思い出した。

リーダー各の様なビースト兵は“大人しくしていれば危害をくわえない”とハッキリ言っていた……しかしアストリアは占領せずに奇襲をかけた。



「ルガーの考えもよくわからねぇんだよ、死を喰らう男ってやつが来てからな…」


「っ!また、あいつ…」



「………やはりどこも妙な事が起きてるんだな…ナバールだけじゃない」




ホークアイは少し俯いて…考えがまとまったのかデュラン達に向き直る。



「港へ急げ…町の連中が話していたが、警備が手薄になったら船を出すらしい。キミ達はその船でこの街から脱出するんだ!」


「ホークアイしゃんはいかないんでちか?」


「俺はまだ調べることがある、町から出るのはその後さ」




三人はホークアイにお礼を言い、牢屋の外に放置されていた各々の武器と荷物を見つけ出した。




「またどっかで会えたらよろしくな、絶対捕まるんじゃねーぞ!」


「ホークアイ、き、気を付けて!」


「ああ、みんな元気でな!」

「…ばいばいのまえにヒールライトしておきまち!」




ヒールライトの光を見つめるホークアイは懐かしさと悲しさが混ざったような表情をしていて…それに気付いたシャルロットは心配そうな顔でホークアイを見上げた。



「だいじょうぶでちか…?」


「……大丈夫、癒してくれてありがとう。シャルロットも怪我とか気をつけるようにな。それと辛いことがあったら遠慮せずデュラン達を頼れ…あいつら、良いおにいちゃんだぞ!」


「はいでち!」




シャルロットはデュランとケヴィンの元へ駆け寄り、ホークアイにもう一度手を振ってから牢屋を後にした。

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