滝の洞窟の入り口前で振り返るデュラン、後には困った顔をしたケヴィンとやる気満々のシャルロット。
「嬢ちゃんにもう一度確認すんぞ…オレ達の旅にどうしてもついてきたいのか?」
「どうしてもでち!」
「断ったところで勝手についてくるんだよな?」
「ことわってもむだでち!」
「途中で、やっぱり帰りたいとか」
「いわないでち!!」
「じゃあ約束な。光の精霊を見つけて、この先もついていけそうだと思ったら一緒にこい」
「はぁい!」
「ただし、オレ達から見て無理だと判断したらウェンデルに連れて帰るからな?」
「わかりまちた!」
「デュラン、いいのか?」
「ああ、見たところこの嬢ちゃんも戦えそうだしな」
「はいでち!」
シャルロットは背中にしまっていた武器を取り出して得意気に笑って見せた。
「それ、フレイルって武器だろ?」
「よくしってるでちね!しんちょうしたてのウッドフレイルでち!」
「武器屋にはしょっちゅう顔出してたからな、剣以外にも詳しくなったんだ」
「オイラは、はじめて見た…獣人、あまり武器使わない」
「そうだ、ケヴィンの戦いかたも気になってたんだよ!お手並み拝見させてもらうぜっ、と?」
『話がまとまったところでいきましょう!実は昨夜通った時に怪しい横穴を見つけたの、そこを目指すわよ!』
「だからおまえ、いきなり出てくんなって!」
三人は待ちきれなくなったフェアリーに急かされながら滝の洞窟に入る。
中にいるモンスター達は先刻デュランが倒していたが、洞窟の奥深くにはまだまだ潜んでいたようだ。
「でぇぇちっ!」
『本当に戦えるのね!すごいわシャルロット!』
「へっへーん!らくしょうでち!」
防御の硬いゴブリンなどのモンスターはデュランやケヴィンが片付け…シャルロットはちょこまか飛び回るバットムを叩き落として追撃し、懸命に戦っていた。
「フェアリー、あそこか?」
デュランが指したのはフェアリーが見つけた横穴だ…昨夜シャルロットが足を踏み外した場所の反対側にあった。
「うぅ…シャルロットここはトラウマでち…」
『大丈夫よ、落ちないようにするから!』
フェアリーは滝の水から溢れているマナの力を使い、三人を横穴まで運んでくれた。
そこからさらに奥へと進んでいくと、開けたところに出た。
「ひろいけどなーんもないでち」
「回りは水で囲まれてんな…嬢ちゃん、落ちんなよ?」
「そんななんどもおっこちないでち!」
「二人とも上っ!!」
「「!?」」
ケヴィンの声に上を見ると、巨大な影がシャルロットとデュラン目掛けて落ちてくる…二人はローリングをしてかわした。
「つぶされるところでちたよ!なんなんでちこいつ!?」
「強そうだけど…光の精霊じゃないよな?」
「なんか、カニっぽい……倒したら食える?」
『ああもう、いっぺんに聞かないで!こいつは巨大な魔物、フルメタルハガーよ…っ!危ない!』
蟹のような魔物は光の球体を放ち、三人は寸前で避ける。
「いまの、ホーリーボール?ひかりのまほうでち!」
『やっぱり!こいつからマナの力を感じるの…どうしてかはわからないけど』
「マナをとられちゃったんでちか!」
「とられたって、光の精霊のマナをか!?」
「オ、オイラむずかしくてよくわかんないけど…悪いヤツは倒さなきゃダメ!」
ケヴィンはそう言いながら魔物の甲羅に一撃を入れる。
『ケヴィン!こいつの目に気を付けて!』
「え?」
魔物の目線が攻撃を続けようとしたケヴィンに向き、その目が強く光った。
「っ!?今の、なにっ?」
上手く避けることができたが、魔物の目から発せられたのは光のビームだった。
「どうみてもみずっぽいのにひかりのビームをだすなんて、なまいきでち!」
「ああ!生意気ガニをぶっ倒してやろうぜ!」