『よくぞ我が迷える魂を解放してくれた…』
「お!あれが闇の精霊か?ひゃーっ!助かっっ!!?」
「「デュラン!!」しゃぁぁん!!」
ードタンッッ!!!
ゴーヴァを倒したことで実体が戻り甲板へ出てきたデュランにシャルロットとケヴィンが飛び付き、勢い余って三人で床にずっこけた。
「良かったぁ!!!デュラン生きてる!!」
「…生きてっけど、おまえら重いって…」
「うわぁぁぁんっ!!こわかったでちぃぃぃ!!デュランしゃんが、きえちゃうかと、おもっ、て…!」
「な、泣くな泣くな!!」
『ふふふっ♪愛されてるわねデュラン!』
デュランは茶化してくるフェアリーに何か言い返したくなったが…ひとまず起き上がり、船の探索を始めた時のように両手で二人の頭をくしゃくしゃ撫でて笑った。
「…二人ともよく頑張ったな、ありがとよ!」
「「うん!」」
『………我も力をかそうと思うのだがよいか?』
『はい!シェイドさんぜひ!』
闇の精霊シェイドは三人の会話に割って入らないよう配慮していた…律儀なゴーヴァを生み出した存在であるためか本人も律儀な精霊らしい。
そしてシェイドは闇のマナストーンや神獣について語り、マナが減少した原因をフェアリーとデュラン達が考えている時……幽霊船が消えかかっていることに気付いた。
「どどど、どうするんでち!!?シャルロットおよげまちぇん!!」
「オイラに掴まってシャルロット!オイラ泳ぎ得意っ!!」
「…こうなりゃやるっきゃねえ!!二人とも!重たいもんはオレによこせ!」
デュランはシャルロット達の武器防具を道具袋にまとめて詰め込み…フェアリーに頼んで精霊達を呼び出した。
『お呼びダスか~?』
『なんじゃなんじゃ??』
『ちぃーすデュランさん!呪いが解けて良かったッスね~!』
『…デュラン、皆を呼んで何をするの?』
「決まってんだろ………精霊達っ!!誰でもいいから俺らを導けぇぇ!!!」
そう叫ぶとデュランは荷物を持ったまま海へと飛び込み、シャルロットにしがみつかれているケヴィンもそれに続いた。
『いやいやいや!無理っスよそんなの!!水の精霊ならともかく!』
「無理なんて、知るかぁ!おまえはとにかく、暗い海を…照らしてくれ!」
『うーむ、ワシに出来ることは……土のマナを感じとって陸地を探すかのう』
『なら泳ぎやすいように風を起こすダス~!!』
『こうなったのは我の責任だ……出来る事はしよう』
「ああ!頼むぅ!!」
『…マナの女神様、どうか御加護を……』
フェアリーはがむしゃらに泳ぎ始めたデュラン達を見つめ、ただ祈ることしかできなかった。