アストリアに泊まろうとしたデュランは不思議な光がラビの森へ飛んでいくのを宿屋の窓から見かけ、気になって追い掛けた。
…その光とはマナの聖域からやって来た妖精フェアリー………フェアリーは事情があってデュランにとり憑き、聖都ウェンデルへ行くために滝の洞窟の結界を解いたのだった。
「だから結界、無くなってたのか」
「ああ。で、とりあえず中にいたモンスターは修行がてら片っ端から倒しといた」
「どうくつのなかぜんぶでちか!?」
「全部かはわからねえけど、目についた奴は片付けたぜ……もしアストリアの住民が逃げてきてたら、ここを通ってウェンデルに避難したかもな」
「ウェンデルならあんぜんでち、シャルロットのおじいちゃんがいるから!」
「そっか…シャルロット、光の司祭の孫だ」
「そうでち!ケヴィンしゃんたちはおじいちゃんにようがあるんでちから、シャルロットさきにいっておじいちゃんにつたえておきまち!」
滝の洞窟を抜ける頃にはすっかり夜が明け、早朝に聖都ウェンデルに到着した。
シャルロットはポン太を連れて一足さきに光の司祭がいる神殿へ向かい、デュラン達は都を見渡しながら後に続いた。
「へぇ〜、ここって武器屋もあるんだな…」
【ほら寄り道しないの!!早く光の司祭様に会いに行きましょう!】
「わ、わかってるって!頭の中で叫ぶなよ……どっちみちこの時間帯は店なんて閉まってて入れねえし。それにその司祭だってじいさんなら、嬢ちゃんが起こしに行ったとはいえあんまり早いと…」
【お年寄りはむしろ早寝早起きなんじゃないの??】
「おまえのその知識はどこから得てくんだよ…」
(……カール、ホントに生き返るのかな…)
「あ、そういやケヴィン」
「っ!な、なに?」
「おまえとあの嬢ちゃんって元々知り合いなのか?」
「…え?」
思わぬところで再会したが、まだ少し慣れていないデュランに話し掛けられて緊張するケヴィン…そして話の内容は突拍子もない質問。
「シャルロットは、デュランと同じ。昨日はじめて会った……空から降ってきて…心配だったから、アストリアに運んだ」
「どんな出逢い方だそりゃ?…まあでも、けっこう普通に喋ってたし、前から友達なのかと思った」
「えと、人間苦手だけど……多分、子供だから…話すの少しだけ平気」
「あぁ、なるほど。子供相手ならそこまで緊張しないよな……なんかさ、ちょっと兄妹みたいだったぜ?」
「??そうか?」
妹がいるデュランは二人の光景が懐かしく見えたのだ…そんな笑っているデュランに、ケヴィンはよくわからずただキョトンとしていた。