シャルロットはジェノアの魔法も罠も範囲外である柱の陰に隠れ、リースはニンジャ二人の攻撃に備えてすぐ側で槍を構える。
(…ウィスプしゃん!きこえるでちか?)
【はーい!】
シャルロットは目を閉じて祈りに入り、魔力を込めて集中し…心の中で光の精霊を呼び出した。
(ウィスプしゃんおねがい!シャルロットにもっとチカラをかして!)
【えぇっと…もっと高度な光魔法を使いたいってことっすか?】
(そうでち!みんなをたすけたいんでち!)
【今のシャルロットさんでも、使うことだけなら可能っす。だけどクラスチェンジをしてないのに高度な魔法は…負担がすごくかかるっすよ】
(かかってもいいでち!ホークアイしゃんだってみかんせいのチカラをつかってまち…だからシャルロットも!)
【……わかったっす!精霊としては止めるべきだけど仲間としてお手伝いしましょう!】
(ありがとうでち!)
使いなれたヒールライトのマナに、さらにウィスプのマナを増した魔力が上乗せされる。
「……っ!」
【シャ、シャルロットさん!やっぱり無理はだめっす!】
クラスチェンジをしていない状態では強すぎる魔力に追い付かない…シャルロットはローブの袖を握り締め、負けじと強く念じる。
(ムリならいつも、デュランしゃんもケヴィンしゃんもしてるでち…)
頭に浮かぶのは当たり前のように前に出て戦い…自分を庇ってくれる仲間達。
シャルロットは仲間が大怪我をするたびに、自分の両親のようになってしまうことを恐れた。
(デュランしゃんたちまでいなくなったら、シャルロットはほんとうにひとりぼっちでち……でも…!)
ヒースが拐われ、光の司祭である祖父も病に倒れた今……寂しさを仲間で埋めているような自分が嫌だった。
(シャルロットががんばりたいのは、ひとりぼっちになりたくないからじゃない!)
『どうせ断ったって勝手についてくるんだろ?なら堂々と一緒に来い…けどオレの修行の邪魔はするんじゃねーぞ、シャルロット!』
『オイラまんまるドロップとかぱっくんチョコより、シャルロットのヒールライトが好き!』
自分を認めてくれた人達を……仲間を護りたい、そう思ったからシャルロットはここにいる。
(ヒースもおじいちゃんもデュランしゃんたちも……みんな、シャルロットがたすけてみせるでち!!)
シャルロットの周りに強い光が溢れる。
驚き振り返ったリースは、自分の体が軽くなり体力が回復していると気付いた。
「これ、は……シャルロットちゃんの力?」
リースだけではなく、その場にいる仲間達は全員癒しを与えられていた。
『シャルロット!その服!!』
「……ありゃ??」
シャルロットが着ていたローブ『ポポイのおさがり』が緑の色だけを残し、新しい服に変化している。
「ぎょえー!!!デュランしゃんたちにかってもらったおようふくがぁぁ!!!!」
『お、落ち着いてシャルロット!あなたクラスチェンジしてるわよ!?』
シャルロットは全体化の力が備わったヒールライトを唱えた瞬間に、クレリックからプリーステスへとクラスチェンジしていた。
『自分の力を解放できたのよ、デュラン達も言ってたようにあなたは弱くないわ!形勢逆転といきましょう!』
「…うん!」