「ぐっ…あああぁぁぁぁぁ!!!!!」
熱く重い痛みが全身に走る。
もうとっくに塞がっているはずの傷が……紅蓮の魔導師から受けた火傷跡が抉られるような錯覚が襲う。
「デュランしゃっ……シャルロットが…ぜったい、なおすでち…!なおすからぁ!!!」
(………シャル…ロッ、ト…)
意識が遠のきそうな中、デュランの耳にシャルロットの涙声が入ってくる。
(仲間を不安にさせて、どうすんだ……耐えろ…耐えろっ!ケヴィンが回復するまで…)
「水遁っ!!」
聴いたことがある声が響いて……水魔法のような忍術が発動し、デュランを苦しめている炎が消えた。
「何っ?今の忍術は…」
「そこまでよ。今度こそ逃がしません!」
デュラン達の助けに入ったのはニンジャの背後に槍を突き付けるリース…そして。
「デュラン、立てるか?」
先程の水の力……忍術を使ったホークアイだった。
「…………ホークアイ…」
「お、おい大丈夫か?」
「…ああ、ちょっと目が掠れてるだけだ。まだ戦える」
ホークアイはデュランに肩を貸し、再び力を無くしたジェノアから距離をとる。
「おまえ、あといくつ氷のコインを持ってる?ベルトに着けてるポーチに入ってるんだろ?」
「いつのまに、見たんだ?」
「音でわかるんだよ、シーフは耳もいいのさ」
「………あと二枚だ」
「ならあの顔を弱らせられるのはあと三回だな…俺の忍術はまだ未完成、使うと疲れるんだよ……出来てもあと一回だ」
軽く言っているが、その足取りは重い…相当負担がかかる力なのだろう。
(……ホークアイしゃんが使ったのは、みかんせいのチカラ…)
「さあ、覚悟なさい!」
「ローラントの王女よ、我らが二人だというとことを忘れたのか?」
「なっ!…シャルロットちゃん!!」
「え…」
突然ニンジャが二人に別れ、その片方がシャルロットに向かって斬りかかった。