水属性の攻撃で弱らせたジェノアにデュランと獣化したケヴィンがいっきに攻撃を打ち込む……この作戦は突如三人へ落とされた雷撃によって阻止された。
『そんなぁっ!ジェノアは魔法を放てる状態じゃなかったはず…』
「………まほーじゃ、ないでち…」
シャルロットは雷撃を受けた際、魔法とは違う力を感じ取った…魔法に似ている別の術だ。
「……早く、しねえと……炎が…」
「ほう、まだ動けるのか」
「ぅぐっ!」
剣を握り直し立ち上がろうとするデュランの首を掴む大柄なナバール兵であるニンジャ…この城で戦った者達とは雰囲気が違う。
「デュランを離せ!!」
「火遁の術」
「っ!?」
ニンジャは炎の魔法に似た攻撃……忍術を放ち、デュランを助けようとしたケヴィンにぶつける。
「ケ…ヴィンっ…!!」
立て続けに忍術を喰らったケヴィンはその衝撃により獣化が解けた状態で倒れこんだ。
(フェアリー!シャルロットにケヴィンの回復を優先するよう言ってくれっ!!)
【だけど、あなたもそのままじゃ…】
(いいから頼む!!)
シャルロットはケヴィンと同じく…きっとデュランを助ける行動に出るだろう。
しかしそれによって攻撃されたら間違いなく全滅……ならば自分が標的になっている隙にケヴィンを回復させるべきだとデュランは思ったのだ。
「おまえ、炎が苦手なようだが…火が怖いのか?」
「はっ…?んな、こと…ねぇよ…」
「火遁の術を見たおまえの反応。さらに氷のコインを常備している念の入れよう…炎を恐れているとしか思えん」
「違うっ……オレは…炎…なんかに、負けねぇ…」
「面白い。ならば耐えてみせよ」
大柄なニンジャは炎の力が戻ったジェノアの前にデュランを投げつける。
「デュ、デュランしゃん……」
雷撃のダメージを我慢し、なんとかケヴィンへ駆け寄ってヒールライトを唱えているシャルロットの手が震える。
『シャルロット!お願い、今は回復に集中して…!』
フェアリーの悲痛な声に、シャルロットはデュランから目をそらしてヒールライトを唱え続けることしかできない………そしてジェノアの炎の魔法がデュランに向けて発動した。