ーダンッッッ!!!!!
「どひゃあっ!!?ケヴィンしゃん!?」
「ケヴィン!獣化したままだって!」
「あ、ごめん!びっくりさせた!」
大きな音を立てながら上の広場から飛び降りてきたケヴィン……デュランに指摘されてすぐに獣化を解く。
「…シャルロット、オイラ達との旅……大事?」
「だ、だいじでちよ…」
「良かったぁ!オイラ、言わないようにしてたけどシャルロットが帰っちゃったら寂しい!だから一緒に旅、続けたい!」
「…いまのはなし、ぜんぶきいてたんでちか?」
「ウン!オイラ耳いいから!」
「打ち合いながらそんだけハッキリ聴こえるなんて、たいしたもんだな本当に…」
訓練用の木剣と盾を背中に戻しながら、デュランも下の花畑に降りてきた。
「まあ、攻撃にところどころ動揺してんのが見えたけどな…」
「えっ?そうだった!?じゃあやり直し!もう一回だ!」
ケヴィンはバタバタ走って上の広場に戻っていき、やれやれとした様子でデュランもきびすをかえし…ホークアイへと視線を向けた。
「…おまえ、シャルロットにああ言ったのはわざとだろ?」
「お、気付いてたのか」
「わ、わざと、でちか??」
「わざとって言えばそうだけど、意地悪とかじゃなくてな……シャルロットの本心を知ったほうがいいと思ったんだ…おまえ達がな♪」
人差し指を立ててウィンクをするホークアイに、デュランは呆れた表情で返した。
「そんな顔すんなって。大事って言われて嬉しかっただろ、おにいちゃん?」
「あんま茶化すなっつの………ああもう、こうなりゃおまえも鍛錬つき合え!!」
「おわ!?勘弁してくれよっ!」
デュランに無理矢理引きずられていくホークアイだが、花畑から少し離れると会話の続きを小声で話始めた。
「正直言うとさ、おまえ達が動くんじゃないかと予想した部分もあったんだ」
「??そりゃどういう意味だ?」
「おまえ達はシャルロットが帰りたいって言ったらふたつ返事でOKしそうだからだよ……気を遣いすぎるのもよくないぞ?予想以上にケヴィンが素直なこと言ってくれたけどな」
「デュランまだかー?……お!ホークアイも鍛錬するか?なら早くやろう!」
デュランを待ちくたびれたケヴィンが、準備運動をしながら声を上げている。
「…旅の間に色々あったんだな、ジャドの地下牢の時からなんとなくそんな気はしてたが」
「確かに色々あったけど…なんの話をしてるんだ?」
「ケヴィンの気持ちの話だよ」
「あー、あいつ人見知りに見えて意外と人懐っこいよな。きっと人間に慣れてきたんだろ」
「ん??デュラン…そこは気付いてないのか?」
「え?何が?」
「えぇと……いやケヴィン本人も無自覚みたいだし………でもなあ…」
『無理よ、デュランはこの手の話に疎いから』
「どうやらその様だね、フェアリーちゃん」
なんだかよくわからないが待たせっぱなしは悪いと思い、デュランは木剣と盾を手にケヴィンとの鍛錬を再開するのだった。