第25話『自分でもわからない本心』

ーダンッッッ!!!!!

「どひゃあっ!!?ケヴィンしゃん!?」


「ケヴィン!獣化したままだって!」


「あ、ごめん!びっくりさせた!」



大きな音を立てながら上の広場から飛び降りてきたケヴィン……デュランに指摘されてすぐに獣化を解く。



「…シャルロット、オイラ達との旅……大事?」


「だ、だいじでちよ…」


「良かったぁ!オイラ、言わないようにしてたけどシャルロットが帰っちゃったら寂しい!だから一緒に旅、続けたい!」



「…いまのはなし、ぜんぶきいてたんでちか?」


「ウン!オイラ耳いいから!」



「打ち合いながらそんだけハッキリ聴こえるなんて、たいしたもんだな本当に…」



訓練用の木剣と盾を背中に戻しながら、デュランも下の花畑に降りてきた。


「まあ、攻撃にところどころ動揺してんのが見えたけどな…」


「えっ?そうだった!?じゃあやり直し!もう一回だ!」



ケヴィンはバタバタ走って上の広場に戻っていき、やれやれとした様子でデュランもきびすをかえし…ホークアイへと視線を向けた。



「…おまえ、シャルロットにああ言ったのはわざとだろ?」


「お、気付いてたのか」


「わ、わざと、でちか??」


「わざとって言えばそうだけど、意地悪とかじゃなくてな……シャルロットの本心を知ったほうがいいと思ったんだ…おまえ達がな♪」



人差し指を立ててウィンクをするホークアイに、デュランは呆れた表情で返した。



「そんな顔すんなって。大事って言われて嬉しかっただろ、おにいちゃん?」


「あんま茶化すなっつの………ああもう、こうなりゃおまえも鍛錬つき合え!!」


「おわ!?勘弁してくれよっ!」




デュランに無理矢理引きずられていくホークアイだが、花畑から少し離れると会話の続きを小声で話始めた。




「正直言うとさ、おまえ達が動くんじゃないかと予想した部分もあったんだ」


「??そりゃどういう意味だ?」


「おまえ達はシャルロットが帰りたいって言ったらふたつ返事でOKしそうだからだよ……気を遣いすぎるのもよくないぞ?予想以上にケヴィンが素直なこと言ってくれたけどな」

「デュランまだかー?……お!ホークアイも鍛錬するか?なら早くやろう!」


デュランを待ちくたびれたケヴィンが、準備運動をしながら声を上げている。


「…旅の間に色々あったんだな、ジャドの地下牢の時からなんとなくそんな気はしてたが」


「確かに色々あったけど…なんの話をしてるんだ?」


「ケヴィンの気持ちの話だよ」


「あー、あいつ人見知りに見えて意外と人懐っこいよな。きっと人間に慣れてきたんだろ」



「ん??デュラン…そこは気付いてないのか?」


「え?何が?」


「えぇと……いやケヴィン本人も無自覚みたいだし………でもなあ…」


『無理よ、デュランはこの手の話に疎いから』


「どうやらその様だね、フェアリーちゃん」



なんだかよくわからないが待たせっぱなしは悪いと思い、デュランは木剣と盾を手にケヴィンとの鍛錬を再開するのだった。

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