「………フェアリーしゃん…なんででちか…?」
シャルロットは二人と同じようにマナストーンに触れ、同じように光と闇の力を頭の中で見た。
そして進む道を決め…マナストーンもしっかり輝いたのだが…。
「なにも、かわらないでち」
シャルロットの服装には変化が見られず…力が湧いてくるような実感も得られない。
『クラスチェンジは上手くいってるはずなのに………もう一度やってみましょう!』
「わ……わかりまちた!」
シャルロットは再びマナストーンに手を伸ばし…お祈りをするように目を閉じた。
『マナストーンはちゃんと呼応してるわ!もっと強く念じてみて!』
「シャルロット、がんばって!」
フェアリーがマナストーンの様子を見ながらサポートし、ケヴィンも拳を握って応援するが……やはり変化は無かった。
「も、もういっかいでち!」
シャルロットは諦めずに繰り返し…魔法を唱えるときのように集中して、何度も何度も念じた…それでもマナストーンはただ輝くだけだった。
『そんな……どうして…』
「シャルロットはつよくならなきゃいけないんでち!マナストーンしゃん、おねがいっ!!」
「……シャルロット、少し休もう?」
「だめでちよ!シャルロットだけなにもできないままなんて!さっきもケヴィンしゃんにたすけてもらって……これじゃあ、でっかいカニとたたかったときから、ぜんぜんかわってないでち!」
「何もできなくなんか、ない。シャルロットは…」
「にどとおいのりをサボったりしまちぇん!オウチにかえっても、おじいちゃんたちのいうこときくでち!シャルロットちゃんとするから…マナのめがみさま…!」
「そこまでにしておけ、シャルロット」
無言で様子を見守っていたデュランがシャルロットを抱えあげてマナストーンから離した。
「デュランしゃんまって!まだ…」
「何度も力を引き出そうとしたんだ…これ以上やったら倒れちまうぞ」
「いやでち!!シャルロットもクラスチェンジするんでち!」
「今日はもうおしまいだ。また後でここにくればいい」
「で、でもぉっ!」
「……大丈夫だよ、焦るな。クラスチェンジ出来なくても置いていったりしないから…な?」
デュランはとうとう涙をこぼしたシャルロットの頭をくしゃっと撫でて、ケヴィンに目配せした。
「ウン……いったん帰ろう、シャルロット」
ケヴィンが背中を向けてかがみ、デュランはその背中にシャルロットを預ける。
「う、うぅぅっ……!!」
シャルロットはケヴィンの背中に引っ付いて本格的に泣いてしまった。
「…心配いらない、オイラもデュランもいる」
新しい服が涙で濡れるのも気にせず、ケヴィンはシャルロットを安心させるように言って歩みを進めるのだった。