第22話『羽根を持つ召喚獣』




「くそっ……なんだってこんなことに…」



風のマナストーンを見つけて、いよいよジンに会えると思った矢先……洞窟の外で怪しい動きをする黒い鎧の騎士を見つけた。

謎の黒い騎士はジンに何かしらの魔法を使い、駆け付けたデュラン達へ巨大なハーピーの様な召喚獣『ツェンカー』を呼び出して本人は姿を消した。



【デュラン急いで!またスーパーソニックが来るわ!】


「わかってる!!シャルロット行けるか!?」


「う、うん!がんばるでち!!」



シャルロットは動きを止めて力を溜めているツェンカーに向かい、ぽこすかとひっしにフレイルをぶつける。

同時にデュランも十文字斬りを放ち…ようやくツェンカーをダウンさせることができた。



「よっしゃ!今のうちにケヴィンを回復してくれ」


「あ、あの、でも!」


「なんだ?魔力切れか!?」

「ヒールライトは…さっきも、かけたんでち…だけどぜんぜんこうか、なくて…」


【きっとダメージが深すぎて、魔力による癒しの力がとどかないんだわ!】


「…なら、コレを使ってやってくれ。オレは時間をかせぐ!」


「は、はいっでち!」




デュランから『天使の聖杯』を手渡され、重症を負ったケヴィンの元へ走る。


「こいつで、かいふくでち!」



瀕死の状態にも対応できる強力な回復アイテムである天使の聖杯を使うと、いっきにケヴィンの傷がふさがり顔色も良くなった。


「ケヴィンしゃん!おきて……おき…て…っ!」


「う、ん?…シャルロットっ!?ごめん!!オイラまた気絶してた!!?」

「きっ、きぜつどころじゃないでちぃ!!」



ツェンカーとの戦いは道中と同じくシャルロットの回復頼りになった。

しかし普通の魔物とは違い、召喚獣であるツェンカーは物理攻撃も魔法攻撃も速すぎる……さらに前衛で戦うデュランとケヴィンのどちらか一方を大きな爪で捕まえて上空から叩き落とすという荒業を繰り返してきた。


落下したらそのまま昏倒してしまうこともあり…シャルロットにティンクルレインで起こしてもらい、次にヒールライト……そしてその間一人で攻撃を担当していたほうにも順番にヒールライトを唱える。


そんな防戦一方のさなか、広範囲でありながら威力も高い攻撃技『スーパーソニック』を撃たれてしまったが……ケヴィンが体を張ってシャルロットを守ったことで全滅は免れ…ダメージが僅かですんだシャルロットは気絶したケヴィンに急いでヒールライトをかけ、続けて倒れる寸前だったデュランにも唱える。


デュランは体制を立て直して攻撃に戻ったが……シャルロットは先にヒールライトをかけたケヴィンの傷が治っていないことに気付き、泣きそうになっていた。


しかしまたツェンカーがスーパーソニックを放とうとしていたので、いったんケヴィンから離れて攻撃に参加したのが冒頭のやりとりであった。



「ごめん、泣かせちゃって…」


「なっないてないでち!それよりアイツをたおさなきゃ!」


「うん!絶対倒そう……さっき空に連れてかれた時、いいもの見つけた!オイラにまかせてっ!」


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