デュランが借りた城の一室に着いても、シャルロットはまだ少し不機嫌そうにしていた。
「おまえ達どうしたんだよ?」
「なんかオイラ、怒らせちゃったみたい…」
事のいきさつを話すとフェアリーが姿を見せ、デュラン達からそっぽを向いているシャルロットの肩に座った。
『シャルロット、ケヴィンはあなたの事が心配だっただけなのよ?昼間も回復魔法の使いすぎでふらふらになったんだから、なおさらね』
「でも、フェアリーしゃん…」
『皆の前で抱っこされて恥ずかしかったと思うけど…ケヴィンも、どこからが子供扱いになるのか判断が難しくて困ってるの…それはわかってあげて?』
「わ、わかってるでちよ!ただ、シャルロットはまだがんばれたでち……めがみぞうをおうふくすれば、みんなをなおせるのに…」
『確かに聖剣の勇者達は、女神様の力で普通の人よりも特別な加護を受けられるけど……それにも限界はあるわ。実際、毒や疲労は回復しても睡眠不足までは治らないでしょ?』
「……そう、でちけど…」
「つまりしっかり寝て休めってことだろ?だったらいつも通りメシ食って、さっさと寝ちまおうぜ!」
「そうだ!オイラ腹減ってた!」
「…おなかもすいたけど、シャルロットはおふろにはいりたいでち」
シャルロットは今更ながらモールベアの高原で泥だらけになったことを思い出し、服に残っている泥のあとを見てため息をついた。
「んじゃ、シャルロットが風呂行ってる間に俺達は厨房でなんか貰ってくるか」
「わかった!…シャルロット、またあとで!」
「はぁいでち、またあとで…」