「おいっ!しっかりしろ!」
フォルセナの城へと続く街の中央通り……そこにはデュランの見慣れた兵士達が倒れていた。
「……デュラン、か?…頼、む…英雄王様を…」
草原の国フォルセナ王都に、大地の裂け目のつり橋でデュラン達を襲ったアルテナ兵達が攻めこんでいたのだ。
フォルセナ城の門をくぐるとデュランの宿敵…紅蓮の魔導師がはなった魔法生物である魔物があふれかえっていた。
「紅蓮の魔導師め…派手にやりやがって…」
「あわわ、ひ、ひとが!……こっ、こわい…」
「…大丈夫。このヒト、気を失ってるだけ!」
魔物との戦いには慣れているシャルロットだが、人同士での争いごと……ましてや人がそこらじゅうに倒れているなんて恐ろしくて仕方がないのだ。
デュランはケヴィンの背中で震えているシャルロットに振り返り声をかける。
「シャルロット、無理しなくていい。騒ぎがおさまるまでケヴィンと一緒に安全なところに…」
「だ、だめでち!えーゆーおーのおじさんがあぶないでち、こ…こわいけどいかなくちゃ!」
シャルロットはケヴィンの背中から降り、ついさっきデュランに貰ったぱっくんチョコをひとかけら口に放り込んで愛用武器のフレイルを構えた。
「小さいのに強いな、おまえは…だけど『えーゆーおーのおじさん』じゃなくて『英雄王様』な、もしくは陛下!」
「わかってるでち!へーかしゃんをたすけにいくでち!」
「オイラも行く!英雄王助けてフォルセナ護ろう!」
「ああ……ありがとな二人ともっ!」
デュランも剣を構え、三人は魔物がはびこる城内へ向かった。