村からさほど離れていないトンネル内で意外にもあっさり見つかった、だが……。
「5000ルクっ!?たかすぎるでちよ!」
ニトロの火薬はもちろんタダではないとは思っていたが、三人の持ち合わせはそこまでない。
「オジョーちゃんショーバイじょーずだなぁ!しょうがねえ、3000ルクにまけといてやるだ!お買い得だべ?」
「ど、どこがおかいどくなんでちか…」
「わかった、3000ルクで買うよ」
「「デュラン!」しゃん!?」
「他にフォルセナへ行く方法がねえからな、ギリギリ払える額だし大丈夫……って思ったけどちっと足んねぇから、これで手をうってくれ」
デュランは背中の剣を外し、鞘から抜いてワッツに見せる。
「…ほお?人間が打った剣もなかなかのものだべ」
「デュラン待って!足らないぶんはオイラのお金使ってっ!」
「シャ、シャルロットもおこづかいもってるでちよ…」
「おまえ達の小銭を合わせても足りないだろ、だからこの剣を渡して…小銭はまたみんなで貯めて宿屋に泊まる時にでも使おうぜ」
「だけどデュランの剣、昨日買ったばっかり…」
マイアの宿を出発する前、二人は新しい装備品の話をしながらシャルロットの支度が終わるのを待っていた。
その時に良い剣が買えたと嬉しそうにしていたデュランを思い出し、ケヴィンは申し訳ない気持ちになった。
「…いいんだよ、オレには大事なこの剣がある」
デュランは大きめの道具袋から先日まで使っていた『ブロンズソード』……旅立つ際に叔母から受け取った剣を取り出し、改めて背負った。
「そっちの剣のほうが大事だぁ?人間は変わってるべ」
「オレにとっては父親の形見だからな…そんじゃ、残りの金も渡すから火薬を売ってくれ」
【お金をほとんど使っちゃって、本当に平気なの?】
「……平気だって、おまえだって早いとこ精霊探しの旅を再開してえだろ?」
「おおぉ!!!そうだったべ!!今は精霊様が心配なんだべぇぇ!!!」
「びえっ!なんでちかいきなり!?」
心の中で話しかけてきたフェアリーにデュランは小声で返事をしたが、耳が良いのかワッツは『精霊』という部分に反応した。
「オラ達の守り神、精霊ノーム様が行方不明なんだべ!あんた達ノーム様を見なかっただか!?」
「ノームってもしかして土の精霊か?オレ達は見てないが…」
シャルロットはボリュームの大きい低い声を出したワッツが怖かったのか、ケヴィンの後ろに隠れたのでデュランが代わりに応える。
「こーしちゃいられねえ!オラ、ノーム様を探すだ!!」
「えっ?おい!!」
ワッツはこちらの呼び止める声を聞かず、洞窟のさらに奥へと走り去ってしまった。
「あちゃー、剣だけ持って行っちゃった……まだ火薬貰ってねえし…」
【ノームのことも気になるし追いかけましょう!】