第10話『いつのまにか友達』

デュラン達は朝ゆっくりと出発した自由都市マイアまで戻ってきた……その理由は…。


『さあ!フォルセナに行く他の方法を探しましょう!』


「そうだな、急がねぇとさっきの奴らがフォルセナに攻め込んじまう……」



ケヴィンがマシンゴーレムを撃破し、もう一体の方はデュランが倒した際にあろうことか爆発を起こしてフォルセナへ繋がるつり橋が落ちてしまったからだった。


「不確かだけど、一応当てはある」


『もしかして昨日の?』


「ああ、でもその前に……」




マイアの入り口付近でフェアリーと話しているデュラン、その後ろにはぐったりしたシャルロットを背負うケヴィンがいた。


「シャルロットー、大丈夫か?」



「…まだくらくらするでち」




覚えたてのヒールライトを何度も発動させたことで、シャルロットは魔法のクルミを食べて魔力を回復してもまともに歩けないほど疲労していた。



『魔法に慣れてくればここまで疲れなくなるわ…それに、金の女神像にお祈りすれば女神様のご加護で精神力も癒してもらえるから疲労感も消えるわね!』


「へぇ、あの像そんなに万能なのか」


『ちょーっとデュラン?いつも女神像を見てもお祈りしてないとは思ってたけど、もしかしてマナの女神様を信じてないの?』


「フェアリーって存在がここにいるんだし、女神様も信じてるよ。ただオレは魔力とかわからねえから…まんまるドロップで体力回復してりゃ別に普段はいいかなって」


『聖剣の勇者なのに信仰心がほとんど無いなんて……とにかくシャルロット、慣れないうちは新しい魔法を使いすぎちゃダメよ?』



「アウゥ…オイラが回復頼んだせい……今度は深手を負うまでヒールライトしなくていい…」


「そーいうもんだいじゃないでち!」



マシンゴーレムとの戦いで、シャルロットはケヴィンがほんの少しでも傷を負うとそのたびにヒールライトを唱えていたのだ。


「まあ、ケヴィンは無茶しすぎだしシャルロットは心配しすぎだな……ほら、気休めだけどコレも食え」


「はぁいでち♪」



シャルロットはデュランが常備しているまんまるドロップを貰い、機嫌良く口に入れた。



「ごめん、なんかオイラ…“トモダチ”って言われて嬉しくて張り切ってた」


「え……あー、フォルセナ兵と間違われてたからな、仲間って言うと誤解されるから言い方を変えて…」


「しょーでひよ!なかまじゃらいっへいわれへショックでひた!」


「ドロップ舐めながら喋るな」


「…シャルロットも言ってたけどオイラ達はしゃぎすぎたから、デュラン怒らせちゃったかもって…」


「そんくらいで絶交するほど怒らねえよ。だいたいオレは旅立ったばかりのフォルセナにもう帰るなんて気が進まなかったんだし…」


『ふふっ、デュランにとって二人は友達かぁ♪』


「フェアリーっ!なんで笑うんだ!」


『だってあなた、けっこうぶっきらぼうだしツンケンしてそうなのにそういう事は恥ずかしがらずに言うんだなーって…』


「ツンケンしてそうってなんだよっ…ああもう、なんか恥ずかしくなってきたじゃねーか!」


【ほらほら照れないの!当てがあるんだからそこへ向かいましょ!】



フェアリーが姿を消して心の声に切り替えてきたので、デュランはくしゃっと頭を掻いて歩き出した。


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