第1話『運命みたいな偶然』



(ったく、なんなんだあの結界!)


ケヴィンがアストリアへ向かったのと入れ違いに、滝の洞窟にやって来たデュランだったが…。


(今夜中にウェンデルまで行けると思ったのに…)


洞窟の入り口には目に見えない結界が張られており、入ろうとしたら跳ね返されたのだ。

そして途方にくれたデュランは近くにある湖畔の村アストリアへとやって来た。



(最悪ただの壁ならぶっ壊せたんだけどなぁ、魔法みたいな力はわからねぇ……今日はとりあえずこの村に泊まるか)



アストリアの村に入ってすぐの場所に宿屋を見つけ、向かおうとした矢先にちょうど誰かが宿から出てきた。


「オ、おれ!もう行く!外、真夜中、ここで寝ていくといいっ!」


(お?あいつは…)



昼間ジャドの道具屋で出逢ったラビみたいな帽子の少年が、相変わらずのしどろもどろに喋りながらバタバタしていた。

一目散に村の外へ走っていき…デュランには気が付かなかったようだ。



(急いでたみてぇだな…もしかしてあいつもウェンデルへー)


ーバンンッッッ!!!!!


「ねてるばあいじゃないでちっ!ヒースをさがさなきゃ!!」



宿屋へ入ろうとしたと同時に内側から扉が開かれ、小さな女の子が駆け出していった……デュランは当然、その扉に思い切りぶつかった。




「いってぇぇ~………ちくしょう、踏んだり蹴ったりだ…」



明日に備えてもうさっさと寝てしまおうと、よろよろしながら今度こそ宿屋に入った。

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