「しっかし驚いたぜ、精霊にもジジイとかいるんだな」
『デュラン!!失礼でしょっ!』
ケヴィンが倒したジュエルイーターは、額に刺さりっぱなしだったデュランの剣を抜いた瞬間…フルメタルハガーの時と同じく光を発しながら消滅した。
そしてその直後にジュエルイーターの巣穴の奥から土の精霊ノームが出てきたのだ。
ノームは『カワイコちゃんの頼みは断れない』という理由から、フェアリーの申し出を心良く受入れ協力してくれることになった。
(フェアリーって精霊の基準では可愛いのか……わっかんねえもんだな、いやジジイから見た感想か?)
『今のは私にも失礼よ』
「あ、すまん聴こえてたか」
「うひゃ~!ノーム様を仲間にしちまうたぁ、あんたらただもんじゃねえだな!?」
「あたりまえでち!さあ、ただもんじゃないシャルロットたちに『かやく』をうるでち!かくやすで!」
「金なんてとれねえだよ!さっきは失礼しただ!」
「じゃ、じゃあデュランの剣も、貰わない?」
「もちろんです!この火薬は差し上げますだ!」
3000ルクという厳しい金額だったニトロの火薬はタダで入手し、ノームも仲間にできて精霊探しも順調…あとはフォルセナに向かうだけである。
「んだば、お達者で!ノーム様をよろしくですだ~!」
ワッツが使ってくれた『魔法のロープ』で、デュラン達はドワーフの村の入り口まであっという間に戻ってきた。
来たときと同じように金の女神像に祈って癒しの加護を受け、自由都市マイアへ…。
「…あれ?シャルロット、今回はケヴィンから降りて歩かないのか?」
魔法使用時に精神力を駆使して蓄積する疲労もとれているはずだが、シャルロットはケヴィンの背中にしがみついたままだ。
「うぅ~、よるはちょっとさむいんでち…」
「オイラ寒いの平気だから、もう少し乗っかってていいぞ?」
「まあこの辺りは特に風が強いからな。ケヴィンがいいなら、そのまま急ぐぞ?なるべく魔物との戦闘は避けよう」
「うん、了解!」
そのうち防寒具も買っておくかと考えながらデュランが走り出し、シャルロットを背負ったケヴィンもそれに続いた。